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高城高「函館水上警察」

高城高「函館水上警察」(東京創元社)
高城高「函館水上警察」(東京創元社)

図書館で棚の前を通りがかって、タイトルにひかれて借りてしまった。
まったくの偶然の出会いである。

函館出身なもので、函館と書いてあると気になってしまうが、
函館を舞台にした作品は、数はあまり多くはない。
数は多くないのに、
箱館戦争関係は食傷だし(幕末も興味ない)、
ノスタルジック青春群像は
舞台が函館である必要性を感じないので、あまり興味がない。
というわけで、手に取る作品は本当に少ない。

同じ作家の作品ばかり読んでいると読みつくしてしまうので、
時々、このように飛躍をすることがある。
表紙のイラストレーターで借りてみたり(中島梨絵さんステキー!)
新聞の書評を参考にしてみたり、
お気に入り作家の作品紹介本をたどってみたり、
お気に入りのweb論客のおススメ本をたどってみたり。
で、図書館の棚でこの本に出会った。

書かれているのは、私の知っている函館だけど、
ちゃんと知らなかった函館だった。
フィクションではあるのだが、
たぶん、本当にこういう風景が広がっていたのだと思う。
矢車草やライラックの咲く民家の庭。
ハリストス正教会の薄暗い室内。
五島軒の白い外壁。
イギリス領事館のこじんまりした佇まい(実は現在のとは違うらしい)。
ロシア領事館の入ってすぐの豪華な階段の手すりと、
サロンから見おろす函館港の景色。
(1996年までは研修施設として宿泊できたので、何度も宿泊した)
私が知っているのは「文化財」としてのそれらだ。
でも当時は文化財ではなくて、
函館に生活する人々の暮らしに身近なものだった。
五島軒でロシアンな洋食を食べたり、
宝来町の花町にくりだしたり、
基坂(もといざか、と読む)をあがって市役所に行ったり、
亀田川の水を汲んで飲料にしていたり、
ラッコの毛皮が金森倉庫に運び込まれたり、
そんな生活が確かにあったはずだ。
この本で書かれている函館を知るまで、
私はそんな景色を想像したことがなかった。
もったいないことをしたなと思う。
ま、まだ10代前半だったから、私には難しかったと思うが。

主人公は、私のおじいさんのおじいさんくらいの年齢ではないかと思う。
ひいひいおじいさん、かな。
北海道に入植したてのひいひいおじいさんと、
ひょっとしたら、街ですれ違ったかもしれない。

この本を手に、函館に帰りたくなった。
きっと新しい景色が見えると思う。
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by xiaoxia | 2016-04-27 22:10 | 読む | Comments(4)
岸良裕司「マネジメント改革の工程表」

を読んだ感想。

■前振り
朝会のスピーチ当番の折、
面白かったビジネス書
エリヤフ・ゴールドラット「クリティカル・チェーン」の話をした。
サブタイトルは「なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?」と
なんとも刺激的。
これが目からウロコが落ちまくる面白さだった。
内容は、著者であるゴールドラット博士が提唱したTOC(制約条件の理論)を
プロジェクト管理に適用した場合を、小説仕立てにしたもの。
博士は本業は物理学者だが、
ドラッカー先生が自ら「もしドラ」を書いているようなものだから、
非常に平易でわかりやすく、
そして小説としてもこれまた非常に面白い。
プロジェクト管理をしている人はみんな苦しそうだし、
実はみんなイヤイヤやってんじゃないの?と思っていたが、
この本を読んで「あ、なるほど、実は面白いのかも」と
思うようになった。
また、ビジネス書とかマジオヤジ臭wwwと思っていたが、
これを機にビジネス書を読むようになった。

というようなスピーチをしたところ、
E部長から、TOCの本たくさんあるよ、と言われた。
クリティカル・チェーン関係のがあれば貸してくださいと頼んだところ、
前述の本を貸してくれたのだった。
実は最近私はE部長のファンなので下心がくぁwせdrftgyふじこlp

■内容と目次
人が育ち、現場がよみがえる。
社員も社長もうれし泣きする「ゆとり」の経営改革。
大企業から中小企業まで、導入先でことごとく成果を出してきた経営改革手法を、
わかりやすいイラストと図解で解説!
経営改革のジャマをする「会社の害虫」をこの本が退治します。

1 経営とプロジェクト
2 経営改革をジャマするもの
3 サバの読み方・使い方
4 目標を共有する
5 改革の工程表をつくる
6 ゆとりのマネジメント改革

■感想
思ったことを列挙。

○ユルくて読みやすい
文がユルい。
絵も図もたくさん。
字が大きい。
1日で読める。
普段、本を読みつけない人にも
とっつき良いだろう。

○帯に爆笑
『遅れる納期」』『ふくれる予算』、そして『発展的解消』

発展的解消ってwww
オトナ語すぎるwww

○「全体最適」ってイヤな言葉だ
ウチの会社では、「全体最適を考える」というのは
「お前んとこのプロジェクトで火を噴いてても
 売り上げ安いから助けてやらない我慢しろ」
もしくは
「もっと儲かる別プロジェクトが火を噴いているから
 お前んとこの優秀なの引き抜くけど我慢しろ」
という意味。
一気にやる気がなくなる魔法の呪文である。

思うに、目的や目標が共有されていないのではないか。
何が「全体」で、何が「最適」なのか、
そこの定義が各個人で違っている。
今年度はいくら儲けましょう、は目標としては弱い。
本書にもある通り、もっとソウルフルな言葉を目標にするべきなのかも。

○性善説すぎ
他のプロジェクトに助けられると
別のプロジェクトを助けたくなるものだそうだ。
少なくとも、ウチの会社では違う。
火を噴いて助けられたらPMはオワリだし、
収益の悪いプロジェクトに関わったらオワリである。
だから別プロジェクトを助けたがらない。
火消しが得意な人もいる。
「オレが入るからには、好きにさせろ」と言って、
あちこちのプロジェクトから優秀な人を引き抜くので、
あまり好かれていない(笑)

助けたことで評価が下がるようでは問題なので、
評価制度も併せて考えなくてはいけないのでは。
私のように、モチベーションがお金や昇進でないメンバーに
どのように報酬を与えるかも、ちょっと難しいなぁと思う。
あと、やっぱり見える化が足りない。
優秀な人を引き抜かれたとき、「仕方がない」と思えない。
社内には、各プロジェクトの状態を一覧できるツールはあるが、
プロジェクトが火を噴くと後述のPMOが介入してきて面倒なので、
みんな粉飾進捗(笑)をしている。
結局、全然見える化はなされていない。

○PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)
ウチの会社にもPMOがある。
ただしそこは助けてくれる場所ではなくて、
会議で絞られる場所である。
火を噴いてるっつってんのに、
報告書の提出を求められ(そんなことしてる場合ではない)、
会議で長時間絞られ(そんなことしてる場合ではない)、
火消しが得意な声の大きいオジサンが投入されて、
毎日彼に怒鳴られながら針のむしろに座り
納期に滑り込む。

これは、PMOの存在意義が、
PMOの人たち(主に偉い人)の間で
共有されていないのが原因じゃないのか。
もしくは存在意義を間違えている。
PMOの人たちは、PMOは監視する集団だと思っている節がある。
いやいや、助けてくれよ。
見張ってるんじゃなくて。

○とりあえず
部署のことや会社全体のことはおいといて。
「ひとりODSC」は私にもできそうだ。
目的、成果物、成功基準を明確にするのは、仕事に限った話ではなく、
ゴールドラット博士の言うように、日常生活にも応用できそう。
何事も自分にできるところから。

追記:
E部長と話をした。
 私:ウチの会社の、プロジェクト見える化ツールは
   本当はこういうことしたかったんですかね?
 E:えー?どこにバッファがあんの?そんなのないじゃん。
 私:余裕のあるプロジェクトが火事プロジェクトを助ける、とか。
 E:いやーただ上が把握したいだけでしょ
部長という立場から見ても、やっぱりただの監視ツールなのか。
もっと有効な使い方があると思うんだが。
だからみんな粉飾進捗(笑)するんだよう。
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by xiaoxia | 2012-01-05 17:49 | 読む | Comments(0)

格差は遺伝するのか

■三浦展「格差が遺伝する! ~子どもの下流化を防ぐには~」

この人の本は毎度アレだが、やっぱりアレだった。
でも手に取ってしまうのは、彼のうまさなのだろうな。

どこがアレだったかといえば、
データに対する考察に根拠が感じられないこと。
例えば、
「成績の良い子の家庭の方がワンボックスカーを所有している率が高い」という
データがあったとする。
こういう場合、きっと
「ワンボックスカーで家族みんなで出かけるのだろう。
やはり家族の対話が成績の良い子を作るのだ。」
とか書きそうだ。
逆に
「成績の悪い子の家庭の方がワンボックスカーを所有している率が高い」という
データがあったとする。
「エコが叫ばれて久しい昨今に、
ワンボックスカーなどという大きな車を購入するのは、
社会全般に対する関心が低いことを表している。
こういう親の子どもが、成績が良いはずがない。」
とか書きそうだ。
つまり、どうにでもなりそうだなーみたいな。
あーあれですよ、ムカデの足を全部取ると耳が聞こえなくなる、というやつ。
Webさんの日記 Joke of the world.(世界の冗談) [Lang-8]

で、「格差が遺伝する」というのは、
今に始まったこと?
私が子どもの頃から、そう思っていた気がするけど。
今客先に常駐しているのだけど、
ここのお客さんの学歴は、みんなマスター以上。
ドクターとかゴロゴロいる。
子どもの頃の話を聞くと、
小さい頃からコンピュータを買い与えられていたとか、
そんな人たちばっかし。
男兄弟3人いて、みんな家出て下宿して、私大とその院を出たとか。
どんだけブルジョワなんだよと思ったら、
お父さんはパイロットとか、そんなんばっか。
団塊世代の進学率は20%ないはずなのに、
親もみんな大卒以上だし。
いやもうね、あー遺伝子からして頭良いんだーみたいな。

考えてみたら、ずーっと昔からそうじゃないか。
ビンボウ人から成りあがる人なんてほとんどいないからこそ、
成り上がった野口英世とかが有名なんじゃん。
なんで今更「格差って遺伝すんの!?」なんて驚くのかしらん?

真面目に感想を書くと、
調査対象である成績の良い小学生の、
その後の足取りを是非追って欲しい。
彼らは本当に上流な大人になったのだろうか。
やはり自分のことに引き寄せて考えてしまうのだけど、
私だって「小学生までは」成績の良い子だった。
私のように、脱落した人もいると思うのだ。

私の親も、ダンナの親も、
良く働く人で、非常にきれい好きで、几帳面である。
手作りのご飯を毎日毎食用意するのは、
専業主婦である私の母はまだしも、
パートで働いていたダンナの母は
さぞかし大変だったろうと思う。
どちらの母親も、クラシック音楽を聴くのが好きだし、
自称「学生の頃は成績が良かった」と言っているし、
読書も好きらしい。
私の母は去年からバイオリンを習い始めた。
ダンナの母は、Nintendo DS の漢字検定を毎日勉強して、
忘れがちな字や見かけた四字熟語を紙にメモっている。
まさにこの本にある「成績の良い子の親」そのまんまである。
でも、今の私はまったく上流ではない。
自慢じゃないが、私以上の面倒くさがり屋は見たことがない(笑
結婚して10年以上になるのに、
お部屋があまりにアレなので、
友達はおろか、親も入れたことがない(実話
子どもの生活習慣は親の力によるところが大きいかもしれないが、
結局、大人になって親の手を離れれば、「本人」である。
どんなに良い親だったとしても、どんなに頑張って育てたとしても、
決して親の思うようには育たないのが、子どもというものなのかもしれない。
小梨だから想像だけどね。

なわけで、この本読んで「ウチの子はダイジョブかしら!?」と思った親御さんは、
気にしなくていいと思う。
小学生の頃の成績の良さなんて、人生の中ではそれほど重要ではない。
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by xiaoxia | 2009-07-03 12:39 | 読む | Comments(0)

信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス
宇月原 晴明 / 新潮社

最近、文学賞を取った作品を選んで読んでいる。
今までの経験で、この賞をとった作品はだいたい面白い、というのがあって、
芥川賞(女性作家)、ファンタジーノベル大賞、泉鏡花賞あたり。
後は時々SF大賞、直木賞と乱歩賞。
本屋大賞も良いんだけど、
ときおりセイシュンなリア充臭が鼻につくのがあるので、
選んで読むほうが良いっぽい、と最近体得。
夜ピクとか、確かに非常に良い作品だけど、読まんでも良かったなみたいな。
このミスもいいなぁと思っているけど、まだ未着手。

で、この作品は、ファンタジーノベル大賞受賞作。
しょっぱなの酒見賢一「後宮小説」から、
ホントに良い作品を選出してるなぁと思う。
剣と竜と魔法が苦手なので、基本的に欧米風ファンタジーは読まないのだが、
この受賞作は読む。

そして内容。
信長はフタナリでした!という衝撃設定だが、何しろ面白い。
古代ローマ皇帝ヘリオガバルスを中心とし、
古代から第2次大戦中へ、日本からメキシコからヨーロッパから、
とにかく古今東西の色々な事象がリンクしまくる。
澁澤龍彦好きなんで、
ヘリオガバルスというだけで食いついちゃったのだが、
知らなくても十分面白いと思う。
作者は詩作もする人のようで、
冒頭から小説らしからぬ、謳うような文体。
押し付け気味な強い調子も、トンデモ設定も、
すべてを幻想的な雰囲気に仕上げてしまう。
印象としては、高橋克彦のSFモノ(特に「竜の柩」あたり)とか、
半村良の伝奇SFとか、
ああいうのに似ている。
でももっととろりとしていて粘度の高い雰囲気。

ふとしたところに
「これは○○の中のセリフじゃないか!」とか、
「○○の伝説を踏襲しているんだな」とかが出てくる。
当然、小説だから、脚注なんてものはない。
わかる人にだけわかる。
私の知識ではほんのちょっとしかわからなかったけど、
きっと全部わかったらすごく楽しいのだろうな。
ニヤニヤしちゃいそうだ。
衒学的なものが好きな人には、ものすごくオススメ。

ヘリオガバルスといえば、
ネット上のレビューを見てみたら、
「ヘリオガルバス」と書いている人が多数。
当然「エラガルバス」になっちゃう。
名前の中にバール神が含まれている、という記述が小説内にあったじゃん。
ちゃんと読んでないのだなぁと。
私もカタカナを読み取るのは苦手なので、良く間違うけど。
漢字が含まれない単語って、ぱっと読めないよねー(^^;;
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by xiaoxia | 2009-05-15 18:08 | 読む | Comments(0)

最近の漫画のこと

痛いニュース(ノ∀`):【漫画】 「このマンガがすごい!2009」 ランキング発表

ほほう。
女子のくせに女性漫画誌読まないから、
オンナ編が「夏目友人帳」以外ぜんぶわからないのだが(笑)
くらもちふさこが2位に入っていることに感動。
支持される作品を生み続けられるその才能は
本当にすごいな。

「聖★おにいさん」は確かに面白い。
私の笑うツボが
イエスのTシャツに書かれた「サムソンとデリラ」みたいなところなので、
人に薦めはしないけどね。
「宇宙兄弟」も好きだ。
選抜試験の内容が、真偽はわからないけど、妙にリアル。
暗算ができない私は、宇宙飛行士は絶対無理って思った>なる気だった!?
「3月のライオン」は、すごく叙情的で良いんだけど、
なぜアニマル連載なのかわからない。
読者層違うじゃんね。
あの雑誌は「キミキス」とか「ふたりエッチ」とか、
板場広志とか西川秀明とか、
ああいう路線じゃないの?
よしながふみのホモ漫画が入っている点もびっくり。
世の中かわったなぁ(しみじみ
「ファンタジウム」もいい話だよね。
そして一番の驚きは島本和彦なんだけど(爆笑)
私はどっかんどっかんウケながら読んでるけど、
みんなあれ笑えるの?

逆に、「GIANT KILLING」は全然受け付けない。
数回読んで、もう読んでない。
でも人気あるよねぇ。

コメントにも突っ込んでみる。

> 嘘喰いとセンゴク
あーこれは両方無理。
特に「嘘喰い」は絵柄が気持ち悪い。

> 来年の1位は「とろける鉄工所」だと予測。
これは面白いよね!
柱のヘンタイ編集嬢のコメントも読んでるよ!
ダンナには全然同意してもらえないんだけど。

> 常連のヒストリエ
これは瞬間最大風速の漫画じゃないんだよね。
「寄生獣」と同じで、何年経ってもずっと読み継がれる名作。
こういうのには入らない作品だと思う。

> シグルイ
> 少女ファイト
> ヘルシング
> エリートヤンキー三郎
> サンデーの魔王
> 孤高の人
> 湾岸ミッドナイト
このあたりは全部無理だった。
数回読んでやめた。

> イキガミが入ってないところは評価する
これは読んでるなぁ。
SFとして面白いと思うんだけど。

> 夜王以上のギャグ漫画はない
そうかギャグ漫画としてよむべきなのか(笑)
どうしてこの原作の人は、何をかいても同じ話なんだろうねぇ。
漫画家が違うから違う話かと思って読んで、
あれ?どっかで読んだ?と思ったら、原作が全部この人だったり。
ぶっちゃけ水商売漫画は多過ぎ。

> やっぱセスタスは入ってないか
結構好きだ。
ネロが動き出して、面白くなってきたところ。
中でもルスカが好きだ。
ムダに戦わされたり毒盛られたり、もうドM扱いですよ(笑)

> アザゼルさんが無い時点で・・・
おお、「アザゼルさん」も大好きだ。
面白いと思うんだけど。

> ザワさんだけがオアシス
激しく同意!!

> ボーイズオンザラン
最初すごく面白かったんだけど、
ボクシング始めたあたりから、なんか変わってきたな、と。
まさか最後「家族」に来ると思わなかった。
時代なんだなぁと思ったね。
でも全体としては面白かったよ。
前作「ルサンチマン」も非常に面白かったので、次回作も期待してる。

> それより「ひまわりっ」入れろ
あはははは!これいいよねー!
古川うなぎ先生がこれからどんな漫画をお描きになるのか、
非常に気になります。
もうニュアンスパーマ嬢なんかどうでもいい(笑)

> キングダムがないとかありえん
途中から読み始めた。
中華風なけれんみがあって、結構面白い。

> 彼岸島を1位にしているるやつ一人くらいいないのか
毎回ちらっと見ただけで嫌な気分になる。
この人の作品は、最初の数回は読むのだけど、
どうしても血が飛び散り始めると読めなくなる。
今のよりも「クーデタークラブ」のほうがまだマシだった。

コメントにも出てきていない作品にひとこと。
雑誌を手にとっても、読まないで飛ばしてしまう漫画も多い。
編集部では、読者アンケートで、「良かった」と「悪かった」を残すらしいね。
スルーされる作品を打ち切り対象にするとか。
ってことは、むしろ自分に合わない作品をスルーすべきなのかな(笑)

「神の雫」全然面白くない
「かぶく者」こういうのはウケないのかな。面白いのに。
「イナンナ」岡野は好きだが不思議ちゃんっぷりが表に出すぎでイタい
「バンビーノ!」暑苦しくてうっとおしい。
「土竜の歌」前作「マウス」はすごく好きだったのだが、これは全然読めない
「ギャラクシー銀座」意味不明で気持ち悪い
「ココナッツピリオド」最近の山田はどれも説教臭くてうっとおしい
「とめはねっ!」すげい面白いと思う。習字を習いたくなる。
「のぼうの城」花咲の絵は嫌いで「美味しんぼ」も読まなかったがこれは読んでる
「ウシジマくん」すごく面白い。リアルだよなぁ。
「犬のジュース屋さん」最近読み始めた。これが結構面白いんだよ。
「GANTZ」全然おもしろくないんだけど、何で人気あるの?
「LIAR GAME」これも「ワンナウツ」も全然面白くない。でも「小田霧響子」は面白い。
「ノノノノ」描き分けがはっきりしているせいか「エルフェンリート」よりも面白い
「ハチワンダイバー」これはガチで面白い。バチダン!という擬音とかw
「シャトゥーン」展開するのかと思ったらあれが続くのか。もう読まないかも。
「爆麗音」絵柄が内容に合ってないし、音楽の表現方法が全然受け付けない。
「ノエルの気持ち」相変わらずの山花節で読んでてつらい。いい加減飽きた
「王様の仕立て屋」これは毎回勉強になって面白い
「毒×恋」同じような話を大量生産しすぎ。アニマルだけにして欲しい。
「ふぐマン」相変わらず面白い。久しぶりにギャグなので期待している。
「月光条例」前の「邪眼」「スプリンガルド」は良かったが、これはちょっと無理
「お茶にごす」なぜか読んじゃう。面白いからなんだろうな。読ませ方が上手いのか。
「アラタカンガタリ」やっぱ渡瀬悠宇は面白いなぁ。
「コッペリオン」絵もいいし話も良い。SFとして面白いと思う。

2-8ページくらいの短いのや四コマ、文字ネタは、基本的にどれも面白くて好きだ。
「俺ハエ」も「かみにえともじ」も
「ポテン生活」(背景の落書きまで)も「奇食ハンター」も
目次に載っている梅吉の切り絵まで、全部見てるよ。
読んでないのは「まじかるストロベリィ」くらいか。

ところでなんで少年サンデーはファンタジー漫画だらけですか?
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by xiaoxia | 2008-12-11 19:00 | 読む | Comments(1)

愛読してほしくない作家

[読書・文学] 私家版(超有名作家なのに)好きな女性には愛読してほしくない作家ベスト5(しあわせのかたち)
【18禁】 嫁に読んでほしくない作品ベスト5(わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる)
好きな人に教えられて読みたくない作家ベスト1(404 Blog Not Found)

私は澁澤つながりで、サドも読む。
数冊持っている程度で、愛読はしてない。
澁澤とサドといえば、猥褻文書っつーことで起訴されたあの裁判を思い出すのだが、
実際に読んでみたら、全然ワイセツじゃなくて、
かなりがっかりしたのだった(笑)

サドといえば、異常性欲としてのサディズムばかりが取り上げられるが、
私が本当に読んでもらいたいのは、
サディズムが肯定されることを滔々と述べたその演説である。

そこでは、きっぱりとキリスト教の考え方が否定されている。
あのキリスト教全盛の世の中で、
あそこまでキリスト教を否定できるというのは、
実はスゴいことだったりする。
欧米人のキリスト教へのしばられっぷりというのは、
多神教で無宗教な日本にいる私たちには想像できないほど
強いもののようだ。
現代でも、キリスト教を深く信仰するあまり、
地球は回っていない、進化論は嘘である、と信じている人たちがいる。
一見科学を否定する愚かな行為に見えるが、
なぜそこまでできるのかということは、
ほとんどの日本人は理解できないだろう。
当時のキリスト教信仰は、彼ら以上に敬虔なものだったと思われる。
そんな時代に、それを真っ向から否定する。
否定する思想自体、多くの人には想像も付かないことだっただろう。
そんなサドの思想の柔軟さは、非常に驚くべきものだと思う。
逆に言えば、キリスト教を否定するほかに、
「背徳」を表現する方法がないことがわかるのだが、
それは時代性を考えれば仕方のないことだ。

そんなわけで、当時の澁澤も言ったように、
サドをワイセツって言ったら、言った人の頭の中がワイセツ!
と言いたい。
読んでみればわかるけど、サドは全然エロくない。
気持ち悪いかもしれないけど。
いや、実際、気持ち悪いんだけど(笑)
もうちょっと彼の思想とか哲学とか、
そういう方向でも見て欲しいなぁと思うわけ。

マンディアルグやバタイユはまだ読んでない。
眼球譚だけは絶対読まなきゃと思ってる。
この際、いい機会だから読もうかなぁ。

しかしね、これで18禁とか言ってたら、
井原西鶴とか、学校の図書館に置いてる場合じゃないよ。
読んでたけど(笑)
日本の王朝文学も、そういうシーンは結構あるしね。
ミヤビっぽく訳してあるけど、これってアレじゃん、みたいな。

サド(発禁本だった)を数冊所持して、
バタイユも読みたいーなんつってる女子は、
50年前だったら確実にタイーホだな。
サドは堂々とレジに出して買ったのだが、
つくづく、いい時代になったもんだ(違

***

「しあわせのかたち」さんの方で、
「5位/坂東真砂子」とある。
あーそうかなー。
女子としては、岩井志麻子のほうが、
男性に好かれていないと思うんだけど。
むしろ、男性に愛読して欲しくない作家、か。
私はどっちも好きですよ。
露悪的で(^-^)

渡辺淳一とか団鬼六とかは……なんつーかまあ、
普通の女子は手に取りもせんでしょう。

そうかも。
私もそっちは行かないし。
渡辺淳一は、なんつーかエロじゃなくて、
オヤジの妄想過ぎて、可哀想で読んでいられないっつーか。
高校のころ、団鬼六を愛読している友人♀はいたけれど、
私はそっちには行かなかったねぇ。
宇野鴻一郎の方にも行かなかったしー。
でも、中学生の頃は、川上宗薫を読んでた。
何だろ、官能小説でも、やっぱ好みがあるんだろうな。

乱歩やヤプーが何でないんだろうねとのことだが、
乱歩は確かにヘンタイだわ(笑)
人間椅子とかヘンタイ過ぎ。
個人的に一番のオススメは「芋虫」なんだけどね。
でも、一般的には、どういうわけか、それほどヘンタイ扱いされてないね。
日本人の感性には、サドなんかより、乱歩の方がよほどエロだと思うのだが。
ヤプーは、書かれた時代背景を思ってしまうので、
それほどエロではないと思っている。
敗戦直後に金髪碧眼美女崇拝、しかも名前を隠して、でしょ。
純粋にヘンタイ小説とは、ちょっと思えない。
敗戦国の鬱屈した何かを感じてしまうよ。

うっかりメガストアとか桃姫に反応してしまった。
ぬるい。
コアマガジン系なんかは、どれもそれなりに画力の高い人が多いので、
全然気持ち悪くなくて、普通である。
二流三流あたりの雑誌の方が、ニッチで、
ちょっと違う方向に行っていることが多い。
個人的には、ムジンやらアウンやらはもう気持ち悪い。
読者コーナーに掲載されている読者のイラストはがきを見ると、
雑誌の方向やレベルがすぐにわかって良いんだけど、
最近は中が見られないようになっているので、至極残念。

dankogai は筒井康隆をあげている。
確かに彼はエログロナンセンスだなぁ。
エロよりはナンセンス要素が強いので、イパーン人にもオススメできる。
「笑うな」とか、あのあたりの短編がよろしい。
でも筒井なら愛読してても良いと思うんだけど。
だめ?

***

で、「男性に愛読して欲しくない作家」も考えてみたのだが、
サドもバタイユも、普通のオサーンには愛読して欲しくない。
「ナオミ! 俺を馬だと思って乗っかってくれ!」とか
愛読してると言われても、困惑しそうだ(^^;;
女子に愛読して欲しくない本は、
男子にも愛読して欲しくない本なのかもしんない。

逆に「女子に愛読して欲しい作家」ってのはどんなのだろう。
合コンで言うとポイント高い作家とか。
「趣味は読書でぇ、えーっとぉ、エクニカオリが好きでぇす」とか言うのかな。
あー無理だ、20年若かったとしてもぜってー無理だ。
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by xiaoxia | 2007-09-03 19:41 | 読む | Comments(0)

読んだ本について色々

最近あんまり読書の感想は書かないのだけど、
ちょっと書きたくなったので。

ダン・シモンズ「エンディミオン」を図書館に予約しているのだが、
それまで読む本がなくなってしまったので、
棚を見ていて目に付いたものを借りてみた。

・島田裕巳「相性が悪い!」
相性は兄弟姉妹のうちどの立ち位置だったかに依存する面があるという話。
例えば第一子と末っ子は相性が良い、とか。
間違いじゃないかもしれないけれど、本当でもない感じ。
統計的な裏づけはほとんどないので、ともすればトンデモ本。
新書だからと真面目な気分で読むと腹が立つ。
所詮新書だからと気楽な気分で「あははははは」と読むべきかね。
お金を出して買うほどではないと思った。

・酒井順子「負け犬の遠吠え」
そういえば読んでなかった。
今頃読んでるって周回遅れ感(笑)
酒井の文体は、常体と敬体が混在していて、読みづらくて好きではない。
なんだけど、よく書けてるなぁと思う。
私は既婚なので、厳密には負け犬ではないかもしれないが、
首肯する部分が多すぎて、基本的に負け犬体質なんだと再認識した。
特に「産んでない子の年齢は数えるな」とか。
実はよく数えちゃうんだよねー、これが(笑)
装丁は佐藤カシワ(字が分からない)なのか。
さすがだな。
装丁としては鈴木成一の方が好きだけどね。

・清水義範「『大人』がいない…」
私は作家で読む。
しかしその作家はそんなに多くない。
数少ない、「作家で読む」の作家の一人が清水義範だ。
多分結構好きだ。
この本を手に取ったのも、著者が清水だからだ。
でもこの本は清水の説教系の本の中では一番好きでない。
本人が「子ども文化」に納得できていない(あまり好きでない?)のだなーとか、
2ちゃんねるで叩かれたのがショックだったのだなーとか、
彼個人の色々が見えてしまって、視点が偏っている感じがする。
まぁ本なんて主観のカタマリだから、
真に偏りのない視点なんて無理なんだけどねー。
しかし、彼は、彼の言うところの「子ども文化」を、分かっていなさ過ぎ。
私がオタクだからそう思うんだろうな。
偏りつつも、なるべく客観を心がけていて、
中島義道的説教に陥っていないところは、さすがと思う。
彼の意見に納得できないところが多いものの、
社会を構成する一員として、私もこういう姿勢でありたいと思う。

…関連して…

2ちゃんで作家が叩かれたとき、対抗策はないのか、と考えて、
栗本のことを思い出した。
何千円も出して舞台を見に来てくれた客ならともかく、
たった数百円の本買ったくらいで、内容にケチつけるな、みたいなことを
HPに載せていたらしい。
なるほど、こういう対抗策もあるのか。
良いか悪いかは別として(笑)
子どもに対抗するなら子どもでってことかね。

で、清水は2ちゃんでの自分の作品のあまりの叩かれっぷりに、
全部読めずに画面を閉じてしまったらしい。
2ちゃんに慣れていないせいで、過剰反応してしまったのではないかと思う。
かなり強い口調で、ひどいことを書いている人も多い。
しかし、(あまり良くないことなのかもしれないが)心情的には、
書いている本人は、それほど強い思いを持っているわけではないと思う。
その強い口調自体が、2ちゃんの流儀というか。
礼節を重んじてオブラートにくるんで感想を書く場じゃなくて、
強い口調で書く場なのだと思う。
それを知らないと、かなりショックを受けるだろうなぁと思う。
清水は礼節を持って感想を書く世代で、
そういう生活をしてきた人で、そういう人物なのだろうから、
ますますショックだったのかな、と。

今までは、本に挟まった「読者カード」葉書みたいなものでしか
読者のダイレクトな感想を知り得なかった。
その内容は、よほどムカついた人でなければ、
「大変良かったです」という好意的なものが多かったのではないかと思う。
清水の本にもある「清水終わったな」みたいな感想は、
わざわざ「読者カード」葉書では送らないだろう。
それが、読者が気軽に感想を表現できる場ができてしまい、
著者もそれを読むことができるようになってしまった。
清水は、そんな状況に戸惑っているのではないか、という感じがした。
IT系になじみのない著述業の人には、
そういう人が多いんじゃないかと思う。
HPを持ってITになじんでいると思われる栗本でさえ、
過剰反応して前述のようなびっくり意見を書くくらいである。
ま、彼女に関して言えば、
IT系になじみが深いものの、
パソ通時代のシンパお取り巻き状態に慣れてしまって、
自分の世の評価はそういうものと思ってしまっているんじゃないかなーと
いう気もするんだけどさ。

だから2ちゃんの口調に慣れろというのじゃないけど、
ああいうのにびっくりしている著述業な人には、
そんなに過剰反応しなくてもいいと思いますよーと言いたい。
どうせ便所の落書きだし、どうせチラシの裏だからね(笑)
というか、以前何かの記事にも書いたけれど、
1/3は味方で、1/3は敵で、1/3は中立である。
大絶賛してくれる人と同数程度には、
大酷評(?)している人がいると覚悟していても良いんじゃないか。
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by xiaoxia | 2007-07-24 17:57 | 読む | Comments(2)

漫画バトン

ふるふるさんから漫画バトンを奪取してみます。
吉田秋生「BANANA FISH OFFICIAL GUIDE BOOK」
■好きな漫画5つ
5つってキツいですねー。
たくさんあるので。

・「日出処の天子」山岸凉子
・「マリオネット」愛田真由美
・「夢幻紳士」高橋葉介
・「BANANA FISH」吉田秋生
・「やじきた学園道中記」市東亮子

持っているのと結構一致しますね。
市東亮子「やじきた学園道中記(25)」
■持ってる漫画本の数(文庫、廉価版)含む
※は頂き物。ほかは買ったもの。

ゆうきまさみ 21冊※
山岸凉子 9冊
佐々木倫子 8冊※
愛田真由美 8冊
楳図かずお 8冊
富田安紀良 6冊
黒川あづさ 5冊
竹宮惠子 4冊
田中圭一 2冊
美内すずえ 2冊
安野モヨコ 1冊
岡崎京子 1冊
吉田秋生 1冊
山田章博 1冊
曽祢まさこ 1冊
潮田弘子 1冊
野中英次 1冊※
追記:西炯子 1冊

前は全然持ってなかったのに、ここ2-3年で倍増したっす(^^;;
本も漫画も、一度読んだら再読しないのですが、
再読したいくらい好きな作品なら買います。
なので、ほとんど棺桶に入れてくれってくらい厳選。
漫画家さんの作品すべてが好きということはほとんどないので、
好きな作品だけ買います。
なので、上のリストの漫画家さんの数は、作品数とほぼ一致しています。

現在進行形で探している作品もあります。
早く入手したい。
日渡早紀「ぼくの地球を守って-愛蔵版 (8)」
ダンナので、捨てないで!と言ってあるのは、
「BANANA FISH」吉田秋生
「ぼくの地球を守って」日渡早紀
高橋葉介全部
「寄生獣」岩明均
「なるたる」鬼頭莫宏
「陰陽師」岡野玲子
くらいでしょうか。
岩明均「寄生獣-完全版(8)」
■好きなシーンは?
「マリオネット」の「鳶色の童話」のラストシーンかな。
「BANANA FISH」なら、ラストの図書館のシーン。
「夢幻紳士」は「夜会」で、うつくしい首の女性が登場するシーン。

全体の雰囲気を好きになることが多いので、
好きなシーンをチョイスと言われると、ちょっと困るなぁ。

■好きな登場人物3人ずつ(最初の好きな漫画から)
えーっ?好きな漫画5つの中から、それぞれ3人?無理(笑)
一人ずつなら。
鬼頭莫宏「なるたる-骸なる星珠たる子(1)」
・「日出処の天子」... やっぱ厩戸。
・「マリオネット」... 主人公のダニエル君。最初の頃。
・「夢幻紳士」... 怪奇編の魔実也。冒険活劇の方は実はあんまり好きでない。
・「BANANA FISH」... アッシュ。いやそれ以外ないでしょ。
・「やじきた」... キタさんも良いけど各雲斎くんが一番良いわ。

書いてみて気づいたんですが、
やっぱクールビューティが好きなんですね。
あはははは。
岡野玲子「陰陽師(1)」
■あったら欲しい、漫画のアイテム
・弓月光「甘い生活」のピクシーの下着
・メルモちゃんの赤いキャンディ
・殺生丸さまの天生牙
・ちょびッツのすもも
・ウマゴンの魔本(ウマゴン付き)
・光学迷彩
・メーヴェ
などなど、書ききれない。
日常生活で役立たないものの方が面白いと思うんだけどね。

■好きな漫画家は?
考えてみたら、この人の作品は全部好きだ!という漫画家さんはいませんね。
漫画家よりも、それぞれの作品を愛するタチらしいです。
でも比較的ワタシにヒットする率が高いのは、高橋葉介あたり。

■少年漫画派?少女漫画派?
両刀だと思っていたのですが、
どうやら少女漫画派のようですね。
少年漫画や青年漫画も面白いと思って読みますが、
ハマるというほどではないみたいです。

■漫画がなくなったら死ぬ?
私は別に死にません(笑)
でも、好きな漫画家さんが職を失うのは、可愛そうです。

■回す人。漫画好きな人5人
どなたでもどぞ。
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by xiaoxia | 2007-06-06 18:24 | 読む | Comments(3)

山尾悠子のこと

幻想文学とファンタジー文学は、
厳密には違うのだろうけど、
便宜的に「ファンタジー」と書かせていただく。
ジェフリー・フォード作/山尾悠子など翻訳「白い果実」

ファンタジーを書く人には2種類ある。
1つは、ファンタジー世界の詳細な設定に熱中する人。
通貨がどうとか、地図とか、人々の肌の色や、衣装がどうとか。
それは多分、世界を構築する「神」の楽しみなのだろうと思う。
そちらが楽しくなってしまって、
物語をつむぐことが疎かになるというのが、
シロウトにはありがちなパターン。
もう1つは、ファンタジー世界の設定を使って、
自分の萌えシチュエーションをこれでもか!と繰り出す人。
プロにはこっちが多いと思う。
その世界にハマれば熱狂的なファンになれるが、
ハマれなければ、作者が見えすぎてしまって、
読者おいてけぼり、ということになりかねない。
例えば、長野まゆみとか野亜梓とか。

山尾悠子は、世界を構築することにも興味がないし、
自分の萌えを開陳することにも興味がない。
山尾の興味は多分「ことば」そのものなのだと思う。

昨今の小説は、登場人物の心情の変化で物語が流れる。
トピックとそれに影響される変化、その連続性が前提にあるように思う。
山尾悠子はそれがない。

細切れのエピソードそのものや、連続/非連続であることに意味を持たせる作家もいる。
私の中では、安倍公房とか村上春樹とかが、そのようなイメージだ。
山尾悠子にはそれもない。

それは散文詩のようだ。
いや、本当に散文詩なのかもしれない。
内包された意味とか、整合性とか連続性とか、
そんなものはどうでも良くて、
ひとつひとつの「ことば」を、愛でるように鑑賞するものかもしれない。

   ■■■

山尾悠子「ラピスラズリ」
最初、長野まゆみ系かなぁと思ったんだよね。
人形、鉱物、水、月、とか、
長野が好きそうなモチーフが並んでいたから。
でも違うのよ。
長野は作者の萌えが見えちゃって、苦笑しちゃう事もあるけど、
こちらは全然作者が見えない。
作者もすごく客観的な視点なわけ。

よく少女漫画家が「話が降りて来る」みたいなことを言うけれど、
ああいう感じがするのね。
もうその「世界」が完璧にできていて、
そして山尾だけにはそれが見えていて、
それを「ことば」にしているだけ、みたいな。
そこに山尾はいなくて、
彼女の体を借りて、神話が語られているような。

よりまし、っていうのかな。
「ことば」だけで、人と人ならぬモノの間をつなぐ。
ある意味、本当に彼女はそうなのかも。

   ■■■

山尾悠子作品集成
とまぁ、そんな山尾悠子の小説たち。
これらが70年代初頭に書かれたことが驚き。
ちょっと時代が早すぎたろうね。

元は、幻想文学もファンタジーも同じものだったのかもしれなけど、
今は全然違うニュアンスだよね。
妹尾ゆふ子あたりが、まだ間にいそうな感じがするけど。
今、ファンタジーって言ったら、もう竜と剣と魔法だもんね。
ハリポタとか、指輪とか。
幻想文学って言ったら誰なんだろう。
澁澤龍彦なんか、すごく幻想文学の人なんだけど、本業じゃないしね。
日本にはいないかなぁ。
ダンセイニとか、一時期のラブクラフトとかは浮かぶんだけど。

これを漫画にしたらどうなるかなぁと思ったんだけど、
一瞬、SF漫画家ってことで佐々木淳子が浮かんだ。
彼女は「子宮で考えた」と言われて気分を害したそうだけど、
私もそう思うなぁ。
あのぐるぐるっぷりは。
だから佐々木よりは、
女性性のようなイキモノのにおいを、極力排除できる人がいいかな。
萩尾望都も良いんだが。
意外に、永野譲とかが合いそうな気がする。

音楽にしたらと考えて、谷山浩子が浮かんだ。
あんなにかわゆらしい声でなくても良いんだが、
「幻想」というジャンルに合う詞を書く人って
少ない気がするんだよね。
アルバム「お昼寝宮・お散歩宮」の「夢の濁流」(→歌詞)とか、
かなりイメージが近いと思ったよ。

解説のところを読んでいて、軽くショックだった。
私が好きな(もしくは昔好きだった)作家がずらずらと並んでいたから。
野亜梓を始め、森茉莉、澁澤龍彦、アイリス・マードック、アナイス・ニンなど。
森茉莉と澁澤以外は、ものすごくマイナーじゃないか。

野亜なんて、山尾から呼びかけられてるぞ。
振り返ってみれば、
彼の初期の作品である「銀河赤道祭」とか、レモンTシリーズとか、
そのあたりは、雰囲気がすごく山尾っぽい。
本人曰く「やおいにはまった」後の作品は
エログロだらけになってしまい、
私にはそれが醜悪で悪趣味に感じられて
(思うに、あれはやおいじゃない。気持ち悪いんだもん)、
読めなくなってしまったけど。

マードックも、現代を舞台とした非常に観念的な小説が多く、
柔らかい安倍公房って感じかもしれないが、
意味を求めることそのものを揺るがす点は、山尾に似ているのかもしれない。
世界が既に構築されていて、その描写によって物語をつむぎだすなら、
そこに作家の影はかなり薄くしか(もしくは全く)投影されない。
マードックは、作家自身が作中に出ないことを大事にしていた作家だ。
山尾がそれを意識していたかどうかはわからないが、
結果的に、そんなところも、似ているような気がする。

画家の名前も挙がっていて、
それも私が大好きな画家だったから、これまたびっくり。
バージル・フィンレイとかギュスターブ・モローとか。
モローは有名だから良いとして、フィンレイが出てくるとは。
彼は挿絵画家の方だけどね。
フィンレイといえばラヴクラフト。
ラヴクラフト以外でこの名前見たの初めてだよ(笑)

山尾を知ったのはここ数年のことなんだけど、
辿りつくべくして辿りついたのかもしれない。

これから読む人には、この順番がおすすめ。
・白い果実
・山尾悠子作品集成
・ラピスラズリ
白い果実は、起承転結があるからとっつき良い。
集成より先にラピスを読んじゃったんだけど、
集成を先に読んだ方が、
彼女の世界観とか破滅嗜好なんかがわかって、
より味わい深かったのでは、と思う。
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by xiaoxia | 2007-03-09 20:00 | 読む | Comments(9)

今年読んだ本総括

・河添房江「源氏物語時空論」源氏物語時空論
実はまだ読んでいる途中。
源氏物語に登場する調度品などから、
当時の中国・韓国との関係や時代背景、当時の日本の世情を読み解く論文集。
その発想は私には非常に斬新。
そのほか、「夜の寝覚め」との比較、
与謝野晶子、谷崎潤一郎、海外の訳者の各訳本の比較などもあって、
古今東西の源氏満載。
一番最後の章は、電子化についてなのだが、
一応プロの私から言わせると、あははははなところもあるアレな内容。
そちらのプロじゃないのだから、まぁこんなもんでしょう。
大変分厚い本だが、源氏物語に興味があるなら、絶対面白い。

・田中美代子「小説の悪魔―鴎外と茉莉」小説の悪魔―鴎外と茉莉
個人的には、今年最も面白くなかった本。
論文なのか、エッセイなのか、どっちつかずな内容で、
何なんだこれはと思っていたら、
どうやら鴎外全集に付けられた
小冊子に載っていたものを集めたものらしい。
それでか。
面白い人には面白いかもしれないが、
私にはつかみどころがなくて辛かった。

・中沢新一「アースダイバー」アースダイバー
東京SUGEEEEE!
こうして見ると、東京という土地が全く違った構造に見えてくる。
私もアースダイバー地図を手に、東京を散策してみたい。

・仲正昌樹「デリダの遺言―「生き生き」とした思想を語る死者へ」デリダの遺言―「生き生き」とした思想を語る死者へ
非常に面白い。
これは書名で損をしている。
とっつき悪い思想の本かと思っちゃうじゃないか。
激しく勿体無い。

・森絵都「DIVE!!」DIVE!!〈上〉
今年最も面白かった本。
スポ根なのだが、何故か面白い。
上下巻の長さを感じさせない、スピーディな展開。
すばらしい。
でも、この作者の作品が全て面白いかというと、
イタイ子どもだった私には、イタくて辛い方が先に立つ。

・村上龍「イン ザ・ミソスープ」イン ザ・ミソスープ
20年振りくらいに村上龍。
この人はやっぱ時代を見る目が違う。
こんなに遅れて読むのではなく、
リアルタイムで読むべき。

・三砂ちづる「オニババ化する女たち 女性の身体性を取り戻す」オニババ化する女たち 女性の身体性を取り戻す
内容には全く賛同できないのに、
何故かとにかく何かを言いたくなる本。
そういう意味では名著。
我が意を得たり!を求めて読むと、期待はずれの可能性もあり。

・山田昌弘「希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く」希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く
・山田昌弘「パラサイト・シングルの時代」
・林信吾「しのびよるネオ階級社会―“イギリス化”する日本の格差」
・鈴木謙介「カーニヴァル化する社会」
・香山リカ「ぷちナショナリズム症候群―若者たちのニッポン主義」
どれも、今の時代の社会で「病巣」扱いされている事象を取り上げたもの。
特にどうということもなく、「あーそうですかー」という感じ。
掘り下げが足りなくて、どれも残尿感なのだが、
ま、所詮新書だから、深い内容を期待してはいけないんだろう。

というわけで、
白い百合賞:DIVE!!
腐ったタマネギ賞:小説の悪魔―鴎外と茉莉
です。

大体、図書館や人から借りて読み、
その後、手元に置きたいと思うと買うことにしている。
今年はそういう本に出会わなかったな。
また来年に期待。
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by xiaoxia | 2006-12-22 23:10 | 読む | Comments(2)

ダメ女プログラマ&主婦&腐女子&バイオリン弾き


by 小霞